美容師の抱える悩み アシスタント編

美容師

美容師国家資格を取得し、意気揚々と美容室や美容サロンでの勤務が始まります。ようやく「美容師になりたい」という夢を叶えたわけです。
しかし、それで必ずしもバラ色の毎日を送れるわけではない、のかもしれません。

美容師のアシスタントとは

美容師国家資格を取得し、美容室や美容サロンでの勤務が始まっても、いきなりハサミを持ってお客様のヘアカットをできるわけではありません
美容室や美容サロンに就職して最初に就くポジションがアシスタントです。

アシスタントの仕事はスタイリストの補助業務で、受付や店舗の掃除、カラーやパーマのサポート、シャンプー(洗髪)やドライヤー操作などを行います。
アシスタントが補助するスタイリストこそが、シャンプー、カット、カラー、パーマ、ヘアセットなどの施術を行う、いわゆる美容師です。

アシスタントとして経験を積み、やがてスタイリストになるのが、一般的な美容師のキャリアコースです。
いわばアシスタントは美容師の下積み時代です。下働きです。丁稚奉公です。小僧奉公です。追い回しです。

美容師アシスタントの悩み

どんな職業でも、五月病というものがあります。
新年度の4月に入学や就職、異動、クラス替え、一人暮らしなど、新しい生活がスタートすると、5月のゴールデンウィーク明けごろから、その環境になじめないことでうつ病に似た症状が起こる人が多いそうです。それが五月病です。

美容師のアシスタントも、勤務を始めて少し経つと、もしくは始めた途端、いろいろな悩みが思春期のニキビのように噴出したり、しなかったりするようです。
五月病とは少し違うかもしれませんが、美容師のアシスタントが抱える悩みも、違う職業でも似たようなこととして起こり得るかもしれません。

思い描いていた仕事とのギャップ

「美容師になりたい!」という将来像を描く大抵の人は「就職→アシスタント→スタイリスト」という美容師のキャリアコースのことは分かっているでしょう。

しかし、人には「分かっちゃいるけど納得できない」ということがあります。
美容師のアシスタントは、それまでハサミを使って美容師になるための実技のトレーニングも積み重ねてきたのですから、お客様のヘアをカットする自分の姿を、何度も脳内再生してきた人が多いはずです。
しかし、そのハサミを持たせてもらえず、受付業務やお客様のご案内、会計、掃除、タオルなどの洗濯、店の後片付けなど、下働きの毎日
下働きの作業は、要するに雑務です。思い描いていた華やかな職場のイメージと、あまりにもかけ離れていたりします。
疲れ果ててエレベーターに乗り、1人になったときに思わず「しば漬け食べたい」と口から漏らしてしまっても誰が責められるでしょう。

拘束時間が長く、遊ぶ時間を持てない

勤務先にもよりますが、一般的にアシスタントは「朝が早くて夜が遅い」とされています。

アシスタントは店の下働きですから、開店準備から閉店の後片付けまでが仕事です。しかもアシスタントは、スタイリストの補助と雑務だけをしていれば良いのではなく、スタイリストとしてデビューする日に備え、自分のスキルを上達させなければいけません
営業時間前後に技術練習の時間を設けている店もあります。なくても自主的に練習するようでなくては、スタイリストになる日も遠くなります。休日に技術講習や勉強会を開いている店もあります。
もちろん、日ごろから、スタイリストの補助や雑務を行いながらスタイリストの仕事振りを見て、スキルを盗むくらいでなくてはいけません。
とても遊んだりしている時間はなさそうです。

しかし、将来のために学び、技術を高める時間は、やはり「自分のための時間」です。そう考えると、拘束時間であっても「自分の時間」だったりするわけです。ものは考えようです。

拘束時間が長いのに給料が安い

美容師のアシスタントは月収約12万円~約17万円だそうです。

どれだけ月収があれば満足できるかは人それぞれですが、恐らく月収約12万円~約17万円は多くの人にとって、決して高い月収とは言えないでしょう。
月収約12万円~約17万円で満足できる人は幸せな人です。

それはともかく、美容師のアシスタントは拘束時間が長いのに決して高いとは言えない月収だということになります。
月収約12万円~約17万円で満足できない上に、スタイリストになるための修業の時間を「自分のための時間」と思えない人には、結構なストレスになるに違いありません。

人間関係 その1

美容師に限ったことではなく、人間関係がストレスになることは多くの職場で起こり得ることです。

美容室や美容サロンでは、アシスタントは先輩であるスタイリストや店長から美容師の仕事を教わることになります。美容師にはそれぞれ個性やクセもありますが、基本的に人は「自分が身に付けてきたものが正しい」と思い込みがちなので、多くの先輩、上司は自分のやり方を教えます。場合によっては、ある先輩と別の先輩で教える内容に差があったりします。
教わる側にとってはなかなかのストレスになります。店長に相談すると、また全然別のことを言ってきたりして、もうワケわかめです。
先輩や店長の中には、アシスタントのミスに対してかなり高圧的に叱責する人もいるかもしれません。これも相当なストレスです。

人間関係 その2

人間関係のストレスには他のものもあります。

よほど小さな店でもない限り、アシスタントは1人ではなく、数人います。大きな人気店なら大勢いるでしょう。
アシスタントの中でも上下関係が生まれるかもしれません。同期のアシスタントがいる場合、足の引っ張り合いなんかが起こる可能性もゼロではありません。
いわゆる、ねたみそねみが原因です。就職前は、アットホームで和気あいあいとした職場に見えたとしても、実際に働き始めてから分かることもあります。
もちろん、本当に和気あいあいとしていて風通しが良く、安心して働ける職場もあります。

ただ、ねたみそねみが溢れた職場でも、自分自身はねたんだり、そねんだりせず、明るく、素直に、温かい気持ちで仕事しましょう。
どうしてもストレスがたまるという人は、別の店に転職しましょう。そんなときも「努力が足りなかった」と落ち込んだりせず、「ただ合わなかっただけ」と割り切ることが肝心です。

手荒れがひどい

美容師は1日に多くのお客様にシャンプー、パーマ、カラーなどの施術を行うので、シャンプー液や薬剤などによって手荒れがひどくなったりします。
手荒れは美容師の職業病でもあります。アシスタントも同様なのです。
言ってみれば、美容師として仕事を続ける以上、スタイリストになってもつきまとうのが手荒れの悩みかもしれません。
手荒れは美容師につきものなので、対策法もきちんとあります。
ハンドクリームなどをこまめに使って保湿に努めたり、手袋を使ったり、荒れた手を必要以上に刺激しないようにしましょう。ひどい場合は皮膚科の受診をオススメします。

腰痛がつらい

美容師は基本的に立ち仕事です。
当然、腰に負担が来ますから、腰痛も職業病となっています。
特に中腰姿勢を続けることになるシャンプーは、腰への負担も大きくなります。ましてやアシスタントは、1日に何人ものお客様にシャンプーを行うので、その負担の大きさは相当です。
腰痛は、長時間同じ姿勢を続けることで血流が悪くなって悪化するとも言われています。
できれば中腰姿勢にならないよう、作業台の高さを調整できると腰痛予防になります。
また、なるべく時間を見つけてストレッチや軽い運動をするようにして血流の改善を図りましょう。

さらにハサミやドライヤーを長時間使うことが原因となる腱鞘炎(けんしょうえん)も、美容師の職業病だと言われています。もしかしたら、ハサミをよく使うスタイリストのほうが発症リスクは高いかもしれませんが、日ごろから定期的な手のストレッチやマッサージを心掛けておきたいものです。

腰痛も腱鞘炎も、ひどい場合は医師に相談しましょう。

まとめ

どんな職業にも、仕事を続けることで出てくる悩みがあるものです。
せっかく一所懸命勉強して美容師になったのですから、できればそうした悩みを解消し、思う存分美容師として活躍しないと、もったいないです。
とは言え、あまりにも悩みが深刻であれば、もしかしたらその職場が「合っていない」という可能性もあります。
もしかしたら、美容師という仕事が「合っていない」という可能性も、あるかもしれません。

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