美容師としての就職先を決めるポイント

美容師

ものにも人にも相性があります。「あの人とはどうしても合わない」という人と一緒に長時間過ごさなくてはいけなくなると、かなりツライものです。
職業にも「合う」「合わない」があります。高度な数学の問題をいとも簡単に解いてしまうような頭脳の持ち主でも、人前で話すことが苦手であれば、教師やお笑い芸人の仕事は向かないかもしれません。人と接するのが苦手なら、営業職にも向かないでしょう。
また、就職先との間にも相性があります。A社では楽しく仕事をできても、同じ業界のB社では仕事がツラくて仕方ないということがあるわけです。

はじめに

勤め先を転々とし、いろいろな経験を積むことで人間的な成長を実感していきたい人もいるかもしれません。
一方、できれば同じところで腰を据えてじっくり勤め続けたいと考える人もいるでしょう。そんな人はできるだけ「合う」会社に入ったほうが、長く勤め続けられるはずです。
そこで今回は、「長く勤め続けたい場合」に適した就職先探しのポイントをご紹介します。

ビジョンを描く

「合う」「合わない」は、要するにギャップです。つまり、理想の「あるべき自分」と「現実の自分」でギャップが大きければ、苦しく感じるわけです。ギャップが少なければ居心地よく感じます
「合う」「合わない」をあらかじめ察知するには、その「あるべき自分」を明確にする必要があります。そこで「こんな美容師になりたい」というビジョンを思い描いてみましょう
ひと口に美容室と言ってもいろいろなタイプがあります。地元密着型で庶民的な店もあれば、高級志向で贅の極みに到達した店もあります。
たとえば、「ゆくゆくはニューヨークでセレブたちのヘアをカットしたい」というビジョンを描くなら、そこに向けて勉強できる美容室を選べば良いわけです。
将来は独立して開業したいと考えるなら、スタッフの独立開業を支援してくれるような店が良いでしょう。

キャリアプランを考える

将来のビジョンを描いたら、そこへの道すじを考えましょう。
「ゆくゆくはニューヨークでセレブたちのヘアをカットしたい」というビジョンを描いた場合、単純に「ニューヨークで働く美容師を輩出している店」を目指せば良いとも限りません。いきなり「ニューヨークで働く美容師を輩出している店」に勤めるのがかなり高いハードルであれば、その「ニューヨークで働く美容師を輩出している店」に勤める足掛かりになるような店を探して求人に応募する、という手もあります。いささか遠回りですが、急がば回れということわざもあります。
どうやったら目指すゴールにたどり着くのかを考えるのがキャリアプランです。もちろん、あくまでもプランなので、勤務先でいろいろ経験する中でいくらでも変更できます。
何にせよ、目指すべきビジョンがあれば、少しくらい勤務がツラくても歯を食いしばることができるかもしれません

チェックポイント

おおまかなキャリアプランを考えたら、いよいよ就職先を探しましょう。このときにぜひチェックしておきたいポイントがあります。

立地

勤務先がどこにあり、勤める場合、どうやってどれくらい時間をかけて通うのかは、案外重要です。
仮に片道20分間、電車に乗るとしても、満員電車での20分と、空いている電車での20分では違います。毎日満員電車に往復40分も乗らなければいけないのを、どうしても避けたい人は、別の通勤方法か、別の就職先を見つけるべきかもしれません。
勤務時間から通勤時間を割り出し、混み具合なんかも調べてみましょう。

待遇

給料、福利厚生、休日、残業、手当、昇給など、労働条件は当然、しっかりチェックしておきましょう。
すべてにおいて希望の労働条件ではないかもしれません。妥協も必要ですが、自分として譲れないポイントをしっかり把握しておくことが大切です。
また、仕事なので、楽と言うよりも大変だと感じることが多いかもしれませんが、あまり無理が重なると仕事を続けられなくなります。
ときには、勤め始めてから「最初に言っていたのと違うじゃん」なんてことも出てくるかもしれません。

理念

一般的な会社には経営理念があります。会社として目指すべき姿、経営者の考えを明文化したものです。通常、会社に決断すべき重大な事態が起こったとき、その指針となるのが経営理念です。
この理念に大いに共感するところがあれば、就職後もちょっとやそっとのことで挫折したりはしないのではないしょうか。

雰囲気

職場の雰囲気とは、その職場で感じる居心地です。
職場の雰囲気はとても重要です。職場は、人生の多くの時間を過ごすことになる場所だからです。どうせ長い時間を過ごすなら、居心地が悪い場所より、居心地の良い場所のほうが良いでしょう。
居心地が良くも悪くもないのなら、それはそれで良いです。長時間を過ごすにもストレスにはならないでしょうから。
職場の雰囲気について、少し具体的な例も挙げてみます。
美容室によっては、スタッフ同士の仲が良く、和気あいあいとしているところもあります。オーナー店長は「店は家族」だと言います。いわゆる「アットホームな職場」です。
しかし、こういうアットホームな職場が苦手という人もいます。そんな人は「アットホームじゃない職場」を探したほうが良いわけです。

教育体制

美容師国家資格を取得して美容室などに就職すると、まずはアシスタントになります。美容師国家資格を取得して美容師として就職したのに、まだ、いわゆる美容師ではなく、美容師見習いなのです。
美容師のアシスタントは、入社後に美容師の技術を高め、接客などの美容師の実務を学び、2~4年後にようやくスタイリストになります。
つまり、美容師は就職後の学びがとても大切で、美容師がしっかり育つための教育体制を、店が整えているかどうかが重要なのです。
きちんとした人材教育を行っている店なのかどうか、しっかり調べましょう。

方向性

「職場の雰囲気」と同じような主旨ですが、店としてセレブ向けの高級店を目指している場合と、庶民的な店を目指している場合では、スタッフとして求められる美容師の在り方も違ってきます。幅広い層から親しまれる美容師になりたい人は、セレブ向けの高級店には向かない可能性が高いわけです。

チェックポイントのチェック方法

就職してから分かることがあります。何に寄らず「経験してみて初めて分かること」というものがありますから。
しかし、就職先選びのチェックポイントは、なるべく就職前に知りたいものです。
そのために、さまざまな方法で情報を集めましょう。

ホームページを見る

基本中の基本です。
ホームページの雰囲気から、店そのものの雰囲気、店が目指す方向性も何となく推察できます。もちろん営業時間、休日などの基本情報も忘れずにチェックしましょう。スタイリストの情報が載っていることもあるので、どんな美容師が活躍しているのかが分かるホームページもあります。

先輩に聞く

同じ美容学校の卒業生がすでにその店に勤務しているなら、その先輩から話を聞くのも良いでしょう。

店に行ってみる

一般的な会社では、就職活動中の学生向けに会社訪問を行っているところがあります。学生に会社に来てもらい、普段の様子を見学してもらうわけです。
同じことを行っている美容室がありますから、そういった機会に参加してみましょう。
または、普通にお客として店に行くのも良いでしょう。

面接時にチェックする

ホームページや先輩の話は大切です。SNSで店の評判を探してみるのも良いでしょう。
ただ、自分がその店に合うかどうかは、やはり自分の実感を大切にする必要があります。そのために会社訪問やお客として行ってみることが大切なのですが、面接も「自分に合うかどうか」をじっくり探りながら臨みましょう。
そのとき、冷静に「自分に合うかどうか」を探るためにも、準備を念入りに行い、気持ちに余裕を持って臨みたいものです。

まとめ

仕事をするのに給料や勤務時間、休日はとても大切ですが、そこにこだわり過ぎると、判断を誤ることもあります。つまり、給料が良いからと言って勤務を始めたものの、店の方針が自分に合わず、結局長続きしなかったということもあり得るわけです。
大切なのは、1つのチェックポイントにこだわらず、ポイントをまんべんなくチェックすることです。
ただし、特に自分にビジョンもキャリアプランもなければ、とりあえず家から一番近いという観点だけで選ぶも良いでしょう。後は成り行き任せです。それで案外、長続きするということもあります。

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