「せっかくなのにもったいない!」美容師を辞めたくなる理由とは

せっかく就職できたのに、その仕事を辞めてしまう人がいます。何だかもったいないような気もしますが、辞める人にはその人なりの理由もあるのです。

はじめに

美容師として就職した人の3年未満での離職率約27%とも約50%とも言われています。少し差があります。
27%と言うと、ほぼ3人に1人なので、辞めてしまう人が多いように感じられます。50%ならほとんど半数なので、これはかなり多いと言えるでしょう。
どちらにしろ「多い」ことには変わりがないようです。
なぜなのでしょう?

美容師を辞めたいワケ

美容師になるには厚生労働省が指定する美容師養成施設で学び、美容師国家資格を取得しなければいけません。手間、時間、お金がかかります。
ですから、それだけ手間暇とお金をかけて美容室に就職したのに辞めてしまうのは、ひどくもったいないと思えます。
それでも辞めてしまう人が「多い」のですから、よほどのワケがあるはずです。

仕事がツラい

美容師に限らず、人は仕事がツラいと感じると思わず辞めてしまいたくなります。

同じ作業ばかり

美容師として就職すると、まずはアシスタントという、いわば美容師を補助するポジションになります。アシスタントの業務は受付や店舗の掃除、カラーやパーマのサポート、洗髪やドライヤー操作など。「美容師」でイメージされる華やかさはなく、毎日地味な作業の繰り返しになります。
そら、イヤになってしまう人もいるでしょう。逆に、毎日することが決まっているので「気楽」と感じる人もいるかもしれません。

成長を感じない

美容師は高度な技術を求められる専門職です。毎日学び、技術の向上に努めなければいけません。
美容師になりたての頃は、いろいろ学び、吸収して自分の成長を実感できるでしょう。しかし、技術の向上を進めていくと、やがて壁にぶち当たったりします。そんなとき、思ったように向上できず、思い悩んでしまうこともあるかしれません。
自分は美容師に向いていないのかもと思い、辞めようという考えがふと頭をよぎってもおかしくありません。

仕事が向いていない

物事には2面性があります。憧れの職業に就いたものの、憧れていたイメージと現実のギャップに直面してガッカリするということは、どんな職業でもありそうです。
もちろん、美容師でもあるでしょう。
美容師になる前は、美容師に憧れていたとしても、実際美容師になってみると「思っていたのと違っていた。自分には向いていない」と初めて気づく人がいても、何の不思議もありません。
やはり何ごとも実際に体験してみないと分からないものです。

職場がツラい

仕事そのものは楽しくやれていても、職場がツラいと感じることでも辞めたくなります。

拘束時間が長い

美容師の1日の平均勤務時間は10時間だそうです。労働基準法で1日の労働時間は「8時間まで」と決められていますから、これは「長い」と言えるでしょう。10時間はあくまでも「平均」ですから、10時間よりもっと長い美容室もあるのでしょう。いくら何でもひどいです。美容師が辞めたくなるのも当然です。
アシスタント時代はさらに練習にも多くの時間を取られ、仕事以外の時間がほとんどないとも言えます。

休みが少ない

店が定休日なのに出勤しなければいけないこともあります。定休日だからと、メーカーが行う美容製品の講習などをわざわざ定休日に設定する店もあります。店による研修、勉強会が定休日に行われる店もあります。
店の定休日に出勤する必要がないとしても、美容室の定休日は平日が多いので、土曜日・日曜日・祝日が休みの、一般的な企業に勤める友人たちと遊びに行くこともできません。休んだ気にならないかもしれません。

先輩や同僚と合わない

どこの職場でもあり得ることですが、職場での人間関係が原因で辞めたくなる場合もあります。
「何かよく分からないけど合わない」こともあるでしょうし、技術を指導する先輩が厳しすぎて「ついていけない」と思うこともあるでしょう。
対人的に「合わない」場合、自分側から接し方を変えていくのが賢明な対処法ですが、それも面倒だと思ってしまうと、辞めるしか選択肢がなくなります。
また、同僚や後輩と「合わない」と感じていたら、運良くその同僚や後輩が店を辞め、ほっとしたのも束の間で、翌年入社してきた後輩が「もっと合わない」人という可能性もなくはないです。

お客様と合わない

美容師も人間ですから、同じく人間であるお客様と「合わない」可能性もあります。
また、決して「合わない」わけではない場合でも、何かミスをしてしまって、それが原因でお客様にこっぴどく怒られたら、悪いのはミスをした自分だと重々分かっていても、怒られたことがトラウマとなってしまうこともあります。上司や先輩がうまくフォローすると、何とか踏ん張ることもできるかもしれませんが。

聞いていたのと条件が違う

面接のときには「アットホームな職場」と言っていたのに勤めてみるとギスギスした雰囲気の職場だったり、給料や休日などの労働条件が、聞いていた内容と違っていたりしても、人は辞めたくなります。
これも美容師に限ったことではありません。
違っていたと言っても、面接のときの印象より和やかな職場だったり、給料は聞いていたより高く、休みは聞いていたより多かったり、「良いほうに」違っていたら離職率は低くなるでしょう。経営者次第です。

福利厚生がそろってない

一般的な企業では健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険、住宅手当、通勤手当などの福利厚生がそろっています。
中にはそろっていない企業もあります。年金も国民年金に入らざるを得なかったりします。厚生年金と国民年金では将来、支給される額が大きく違います。厚生年金のほうが高いのです。
中には「会社にいろいろ面倒見てもらうより、福祉厚生がそろっていないほうが気楽でいいぜ」なんてイキがる人もいるかもしれませんが、どちらかというと多くの人が福利厚生がそろっていたほうが良いと考えます
美容師に限ったことではありません。

明るい将来を描けない

美容室によっては、給料を歩合制にしています。給料が歩合制の場合、美容師は頑張って自分の指名客を増やそうとします。
美容師はアシスタント時代から技術の向上に努め、日々の学びが欠かせません。「技術を向上させなければスタイリストになれない」という思いが、ときにプレッシャーになったりします。プレッシャーに弱い人は、辞めてしまいたくなるかもしれません。
スタイリストになっても「指名客を増やさなければ給料も増えない」という思いがプレッシャーになったりします。

社風が合わない

美容室と言っても、店によって、会社によって随分と違います。
中には、子どもから高齢者まで幅広い層を相手にし、近隣住民の憩いの場にもなっているような店があったり、高級志向で、お客様もこの美容室に行く日は、いつもよりおしゃれな装いにしようと気を張ったりする店もあるでしょう。
美容室の社風は就職前に分かりそうなものですが、それでも勤め始めてから「やはり馴染めない」となってしまう人もいるはずです。

給料が低い

「給料が低い」ことを最初から十分承知していて、その金額でのやりくりを決めていたとしても、仕事のツラさにブチ当たり、給料がもっと高ければ続けられたかもしれないけれど「こんな給料じゃ、やっていられない!」とブチ切れて辞めてしまうこともあるでしょう。
やはり、「金がカタキの世の中」かもしれません。

身体がツラい

仕事も楽しく、職場の居心地も良くても、働きたくても働き続けられなくなることもあります。

体力的にキツイ

美容師はほぼ立ちっぱなしで仕事をします。体も動かします。いわゆる体力仕事です。
体力に自信がない人には向かない仕事かもしれません。

足腰が痛い

美容師の仕事では、中腰姿勢で作業を続けることもあります。腕はずっと上げて作業します。
腕や腰への負担が大きく、腰痛肩こりになったりもします。これらがツラくなると、続けたくでも続けられなくなります。

肌荒れがすごい

美容師は1日に多くのお客様にシャンプー、パーマ、カラーなどの施術を行うので、シャンプー液や薬剤などによって肌荒れがひどくなったりします。
肌荒れは美容師の職業病でもあります。
肌荒れは美容師につきものなので、対策法もきちんとあります。
ハンドクリームなどをこまめに使って保湿に努めたり、手袋を使ったり、荒れた手を必要以上に刺激しないようにしましょう。ひどい場合は皮膚科の受診をオススメします。
しかし、なかなか改善しないと辞めたくなります。

まとめ

どんな職業でも「辞めてしまいたくなる」ときがあるものです。
しかし、辞めたいと思う理由は、ここに挙げた以外にもいろいろあるはずです。好みや価値観が突然変わることもあります。
どうしても辞めたいのに無理してその職場にとどまる必要はありませんが、せっかく選んだ仕事をすぐにあきらめて辞めてしまうのももったいないです。
状況を変えれば「辞めたくなくなる」かもしれないなら、状況を変える努力をしてみるのも悪くはありません。とは言え、努力してみても、それでも辞めたいなら、すっぱり辞めるのが精神衛生上も好ましいでしょう。
「勤め先を変えて引き続き美容師として働く」「美容師以外で美容師国家資格を生かせる仕事に就く」「美容業界とは何にも関係ない職業に就く」など、選択肢はいろいろあります。

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