美容師は接客業でもあります。接客がうまくできれば、お客様のハートを鷲づかみにすることも夢ではありません。お客様のハートを鷲づかめれば、多くのお客様が指名してくれるようになるかもしれません。
はじめに
美容師として技術は磨いてきたけれど、接客には今ひとつ自信を持てないという人もいるのではないでしょうか。
接客には押さえておくべきポイントがあります。今回は美容師が身に付けておきたい接客マナーのポイントをサラッとご紹介しますから、それを参考にして自己鍛錬に励んでみてください。
店でナンバーワン人気の美容師になれないとは必ずしも言い切れないようになるかもしれません。
身だしなみ
心理学においては「第一印象がとても大事」なんて言われるくらいですから、見た目はそこそこ重要です。
もちろん目くじらを立てるほどには重要ではありません。「第一印象がとても大事」なんて、あまりこだわる必要はないです。基本は「清潔感の重視」です。
髪型
清潔感のある髪型にしましょう。妙にベタついていたり、ホコリが付いていたり、汚そうだったりするのは言語道断だと思って良いです。
それに加え、多くの人が「似合っていてカッコ良い」と思ってくれそうな髪型にしておくことです。「似合っていないしカッコ悪い」髪型の美容師は、お客様を不安にします。あまりヘアカットを任せたくなりません。
服装
くどいようですが、清潔感です。汚れたりしていてはいけません。
加えて、露出は控え、髪の毛が付きにくい素材のものにして、それに「似合っていておしゃれ」と思ってもらえそうな服装にしましょう。「似合っていないしおしゃれな感じもしない」服装の美容師は、「美的センスがないのでは」とお客様を不安にします。あまりヘアカットを任せたくなりません。
爪
長い爪、派手な爪はダメです。お客様の中には不潔と感じる人もいるかもしれませんし、間違ってお客様の肌に触れたりすると不快にさせたり、傷付ける可能性もあります。また、施術の邪魔になるかもしれません。
装飾品
施術の邪魔にならないよう、装飾品は控えましょう。美容師は道具を収納したシザーケースを身に付けていますから、少しでも身軽にすべきです。
その他
香水、柔軟剤、タバコ、にんにくなど、匂いには好き嫌いもありますから、匂い関係の習慣などはこの際ですから、きっぱりやめましょう。美容師はお客様との距離も近いので、些細な匂いでも「合わない」というお客様には不快です。
あいさつ
あいさつを接客の基本だという主張があります。さもありなん、といったところでしょうか。
声
あいさつは大きな声でハッキリと、心を込めて言いましょう。
あいさつのスピードは早すぎず、ゆっくりすぎず、です。
滑舌が良く、どれだけ早口でもしっかり聞き取れたとしても、あまり早口だと、あいさつを軽んじているようにも聞こえます。
姿勢
あいさつのときは姿勢も美しく、背筋を伸ばしてていねいにお辞儀しましょう。
会話
心理学ではとにかく「第一印象が大事」と強調しがちですが、第一印象を決定付けるあいさつとともに、カウンセリングや施術のときの「会話」も大事であることに何ら変わりません。惑わされないようにしましょう。
話し方
早口すぎず、ゆっくりすぎず、お客様がしっかり聞き取れるように話しましょう。ていねいに伝えることを心掛ければ大丈夫です。
発声
大きすぎず、小さすぎず、これもお客様がしっかり聞き取れる発声を心掛けましょう。
言葉遣い
相手はお客様ですから、敬語を使うのが基本です。ただ、日本の敬語は複雑かつ難しいので、回りくどい言い回しになって、伝えたいことが伝わらなかったり、誤った使い方をしてしまう危険もあります。
また、常連のお客様とは親しみを感じやすく、言葉遣いもついくだけた感じにしても大丈夫だと思ってしまうかもしれません。しかし、くだけた言葉遣いをしつつ、相手に「敬意を持って接している」と思わせるのは高等テクニックです。
ですから、自分にしっかりした敬語の知識がないと思う人は、無理に敬語を使わなければいけないと思い過ぎないほうが良いかもしれません。くだけた感じで接して大丈夫なお客様にも、くだけすぎないように気をつけましょう。
どちらの場合も、ていねい語を使うことを心掛けると、お客様を不快にさせないはずです。
表情
世の中には接客業の人に対して「笑顔を絶やさず」と要求したりする人もいますが、笑顔を絶やさないということは、ずっと笑顔でいるということで、これはあまりにも不自然です。
大切なのは笑顔ではなく、表情を豊かにすることです。そうしたほうが、お客様を大切にしていることが伝わります。
聞き方
会話には「話すこと」だけではなく「聞くこと」も含まれています。「話すこと」と「聞くこと」があっての会話です。
そして接客では、「話すこと」より「聞くこと」のほうが大切です。「話すこと」は、お客様の「話すこと」を促すためのものであり、美容師が「聞いてほしいことを話す」のではありません。
相づち
話を聞くときに大切なのが、相づちです。「あなたの話をしっかり聞いている」という意志表示でもあります。お客様の話を促す行為でもあります。
大げさにならず、ワンパターンにならずに相づちを打つことが必要です。バーやスナックに行って、ママさんの仕事振りを観察すると勉強になるかもしれません。
表情
これもずっと笑顔ではいけません。笑い話でもないのに笑っていたら、お客様の中には「バカにしている」と思ってしまう人もいます。
もちろん無表情はもってのほかで、お客様の話に合わせ、表情豊かに耳を傾けましょう。
所作
美容師の仕事は体を動かす仕事です。加えて「美しさ」を追求し、「美しさ」を表現する仕事です。
美容師の動作も、できるだけ美しくしましょう。お客様を「上品な空間」にいると感じさせるはずです。
「美しい所作」を学びたい場合は日本舞踊を習うのが一番です。日本舞踊を習う余裕がなければ、せめてテレビや動画で日本舞踊や歌舞伎の女形の所作を見て学びましょう。
まとめ
美容師の仕事は接客業でもありますから、高度な接客スキルを身に付けていると、多くのお客様に喜んでもらえるようになり、指名してくれるお客様が増える可能性も高まります。
その高度な接客スキルの前に、基本的な接客マナーを身に付けていないと、接客スキルの向上は難しくなります。今回の記事を参考に、自身の接客マナーを振り返って確認してみてください。
また接客マナーは、美容師としての接客以外のいろいろな場面でも重宝されるものでもあります。



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